医師からのメッセージ

 子宮頸がんは年間約13,000人が発症し3,500人が大切な命を落としています。1日約10人が死亡する計算になります。一方で、早期発見が可能ながんでもあります。しかし、日本ではこの早期発見に重要な子宮がん検診受診率が25%と低いことが問題となっています。

 1983年子宮頸がんの原因としてHPV(ヒトパピローマウイルス)が持続感染して引き起こされることが解明され、このウイルスに対するワクチンが開発されました。そして、2006年からアメリカで発売され、投与されています。海外ではHPV-16、-18を含む2価のHPVワクチンで約70%子宮頸がんが予防されるとされています。日本では2009年に2価ワクチンの発売が開始され、2011年から4価ワクチンの発売が開始されました。

 2011年4月からHPVワクチンの有効性の評価と子宮がん検診の普及を目的とした疫学研究Ocean study(Osaka Clinical Research for HPV vaccine、の略)が大阪産婦人科医会の施設において“all 大阪”の形で開始しました。本研究では、日本の若年女性におけるHPVワクチンの効果を検証するために、HPVワクチンを12歳~18歳時に接種した群と接種しなかった群において、HPV感染の状況および子宮がん検診での細胞診異常・前がん病変の頻度を比較します。結論が出るまでまだ何年も要しますが、調査への一般の方および産婦人科の先生方のご協力をお願い申し上げます。